補助金を不正受給するとどうなる?痛い目を見た事例も!

補助金を不正受給するとどうなる?痛い目を見た事例も!

つい、出来心で不正受給を…

会社を経営したり、国内外で事業を拡大させたりする中で金銭面の不安が生じることがあるかもしれません。前回、そして前々回の記事(押下すると開きます)にご紹介した補助金は、そんなときに非常に役立ちます。その補助金の目的に沿った事業をする際には是非利用したいところです。

しかし、審査の目をかいくぐり、本来の用途以外に補助金を使用する人や企業は残念ながら存在します。このような不正は、「経営が火の車だったんです!」「マイホームのローンが残っていて…」などのどんな理由であっても許されません。

と、不正をやめるように言って聞き入れてくれる人ばかりなら、そのような不正受給は発生していないことでしょう。そこで本記事では、不正受給をするとどのような痛い目を見るのかを、実際の事例も交えてご紹介します!

目次

  • 補助金の財源は?
  • 何が不正にあたる?罰則は?
  • 実際にあった不正受給
    1. 相応のペナルティ
    2. 契約にも響く不正
  • まとめ

補助金の財源は?

そもそも、補助金はどこから拠出されているのでしょうか。補助金適正化法3条1項は「各省各庁の長は、その所掌の補助金等に係る予算の執行に当つては、補助金等が国民から徴収された税金その他の貴重な財源でまかなわれるものであることに特に留意し、補助金等が法令及び予算で定めるところに従つて公正かつ効率的に使用されるように努めなければならない。」としています。ここから、補助金は税金などで賄われていることが分かります。

何が不正にあたる?罰則は?

では、補助金の受給にあたり、何が不正に該当するのでしょうか。

上でもご紹介している補助金適正化法は、正式名称が「補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律」といい、補助金の不正受給防止を目的としている法律です。

この補助金適正化法で補助金の交付決定の取消しや返還の命令、刑事罰の対象となる行為が定められています。

例えば、「偽りその他不正の手段により補助金等の交付を受け、又は間接補助金等の交付若しくは融通を受けた」(29条1項)り、上記の場合に「情を知つて交付又は融通をした」(29条2項)りすると、5年以下の懲役または100万円以下の罰金が科されます。

実際にあった不正受給

先ほどご紹介したように、その補助金事業の目的に沿っていないにもかかわらず補助金を受給することは禁止されています。しかし悲しいことに、実際に不正受給は存在しています。ここでは、実際の事例を2つご紹介します。どのように不正が行われ、どのような罰が下されたのでしょうか。

1.相応のペナルティ

監視がお天道様だけはNG!

1つ目の事例は、東北大学極低温科学センターで平成16~23年度の約8年にわたって行われた、研究費の不正受給です。この事例では、本来会計処理をすべきでなかった非常勤職員がほとんど会計処理を行っていました。そのような監視の目が届かない状況で約2400万円の不正支出が行われました。当該非常勤職員は懲戒解雇され、被害額の全額弁済をし、執行猶予にはなったものの業務上横領で逮捕されました。

この事例からは、不正の予防や早期発見がしやすい環境を保つことの大切さが分かります。また、不正をした職員は、仕事を失い逮捕もされ、被害額を結局は全額払うことになってしまいました。得をしようと企んで行った不正で、人生はかえって壊れてしまうことが分かります。

参考: 研究機関における不正使用事案:文部科学省 (mext.go.jp)

2.契約にも響く不正

本当はこんなに働かせてませんでした…

2つ目の事例は、一般財団法人エネルギー総合工学研究所で平成16~30年度の約15年にわたって行われた、経済産業省からの補助金の不正受給です。この事例では、平成26~30年度の不正受給額が確定したことを機にそれ以前の年度についても調査が及び、平成16年からの不正も発覚しました。合計約3800万円が不正に受給されていました。これにより、補助金の交付決定が取り消され、不正受給分の返還請求がされました。また、3年間補助金の交付が受けられなくなり、補助金を受け取っている企業とのその事業での契約を16か月制限されました。

この事例からは、不正受給をすると、補助金を受け取れなくなったり不正に受け取っていた分を返さなければいけなくなったりするだけでなく、一定期間契約の相手方を制限されてしまうことが分かります。

参考: 一般財団法人エネルギー総合工学研究所による補助金等の不正受給に対する追加措置を講じました (METI/経済産業省)

まとめ

今回は、補助金の不正受給についてご紹介しました。補助金は税金などの貴重な財源で賄われており、補助の目的から外れて使うことは許されません。それは、補助金適正化法に不正受給した場合の返還や罰則の規定があることからも分かります。また、ご紹介した実際の事例からも、不正受給をすると痛い目を見ることがよく分かります。

法令や補助金の公募要領などの規定を遵守して事業を進めましょう!

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