海外向けコンテンツマーケティングとは?種類・成功事例・進め方を解説

「海外 コンテンツマーケティング」と検索する人には、大きく二つの目的があります。
一つは、海外企業の成功事例や新しいアイデアを知りたいという目的。もう一つは、日本企業が海外市場の顧客に向けてコンテンツマーケティングを実践する方法を知りたいという目的です。
本記事では後者を中心に、コンテンツマーケティングの定義、代表的なコンテンツ、海外向けならではの注意点、成功事例、実践手順を解説します。
先に重要な点をお伝えすると、コンテンツマーケティングはオウンドメディアだけを意味する言葉ではありません。一方で、LP、広告、SNSをまとめてコンテンツマーケティングと呼ぶのも正確ではありません。
顧客にとって価値のある情報を作る「コンテンツ」と、それを届ける「広告・SEO・SNS」、問い合わせや購入につなげる「Webサイト・LP」を分けて考えると、施策の役割が明確になります。
コンテンツマーケティングとは
コンテンツマーケティングとは、対象とする顧客にとって価値のある情報を継続的に作成・提供し、認知や信頼を育てながら、最終的に問い合わせ、購入、継続利用などの行動につなげるマーケティング戦略です。
Content Marketing Instituteによるコンテンツマーケティングの定義でも、「明確に定めた対象者へ、価値と関連性があり、一貫したコンテンツを作成・配信する戦略」と説明されています。
単に自社の商品を宣伝するのではなく、顧客が抱えている疑問や課題を解決する情報を先に提供することが基本です。
たとえば、海外向けに食品を販売したい企業なら、商品紹介だけでなく、次のような情報もコンテンツになります。
- 商品の原材料や製造方法
- 現地での食べ方や活用方法
- 品質管理や安全性
- 輸送・保存方法
- 導入店舗や購入者の事例
- よくある質問への回答
- 商品が生まれた背景や作り手の考え
こうした情報を通じて、まだ商品を知らない人との接点を作り、比較検討に必要な材料を提供し、購入前の不安を解消していきます。
コンテンツマーケティングと広告・SEO・SNS・LPの違い
コンテンツマーケティングを理解するには、「何を伝えるか」と「どう届けるか」を分ける必要があります。
| 項目 | 主な役割 |
|---|---|
| コンテンツマーケティング | 顧客に役立つ情報を通じて、認知・信頼・行動を生み出す戦略 |
| コンテンツ | 記事、動画、事例、調査資料、FAQ、SNS投稿など、顧客へ提供する情報 |
| オウンドメディア | 自社で管理するWebメディア。コンテンツを掲載する場所の一つ |
| SEO | 検索結果からコンテンツを見つけてもらうための施策 |
| SNS | コンテンツの掲載、配信、拡散、顧客との対話を行う場所 |
| Web広告 | 広告費を使い、対象者へ情報を届ける手段 |
| LP | 訪問者へ判断材料を提示し、問い合わせや購入につなげる受け皿 |
これらは別々に存在するのではなく、連携して機能します。ただし、同じものではありません。

図:コンテンツマーケティングを構成する「コンテンツ」「配信手段」「受け皿」「事業成果」の関係
オウンドメディアは代表的な手法の一つ
オウンドメディアで記事を継続的に発信し、検索から見込み顧客を集める方法は、コンテンツマーケティングの代表例です。
しかし、コンテンツの形式は記事に限られません。動画、導入事例、ウェビナー、調査レポート、メールマガジン、SNS投稿などでも、顧客に役立つ情報を継続的に届けられます。
したがって、オウンドメディアを積極的に運営していない企業でも、コンテンツマーケティングに取り組むことは可能です。
広告はコンテンツを届ける手段
Google広告などのWeb広告は、基本的にはコンテンツを対象者へ届ける有料の配信手段です。
広告文自体も顧客が目にする情報ですが、広告を出すことだけでコンテンツマーケティングになるわけではありません。広告で興味を持った人が、リンク先で疑問を解消し、比較・判断できる情報を得られることが重要です。
Googleも、検索語、広告文、リンク先のページに一貫性を持たせ、広告で示した情報をページ上ですぐに確認できる状態を推奨しています。詳しくはGoogle広告の広告文とランディングページに関する公式ガイドをご確認ください。
SNSはコンテンツの掲載場所と配信手段を兼ねる
SNS投稿は、それ自体がコンテンツです。同時に、動画や記事、事例などを多くの人へ届ける配信手段でもあります。
さらに、コメントやメッセージを通じて顧客の反応を知り、次に必要なコンテンツを考えるための接点にもなります。
投稿本数を増やすことだけを目的にせず、誰に何を伝え、どのような反応や行動につなげたいのかを決めることが重要です。
LPは検討と行動を支える受け皿
LPは、広告やSNS、検索から訪問した人に、商品・サービスの価値、特徴、事例、導入方法などを伝えるページです。
LPに掲載する情報はコンテンツの一部ですが、LPを作るだけで継続的なコンテンツマーケティングが成立するわけではありません。顧客がLPへたどり着く接点と、訪問後に判断できる情報の両方が必要です。
海外向けコンテンツマーケティングで使われるコンテンツ
必要なコンテンツは、顧客の検討段階によって異なります。
| 顧客の段階 | 顧客が知りたいこと | コンテンツ例 |
|---|---|---|
| 認知前・潜在段階 | 自分が抱えている課題や新しい選択肢 | SNS投稿、短い動画、調査データ、解説記事 |
| 情報収集段階 | 課題の解決方法、商品の選び方 | ハウツー記事、ウェビナー、ガイド、比較資料 |
| 比較検討段階 | 自社に合うか、信頼できるか | 導入事例、仕様、FAQ、デモ動画、お客様の声 |
| 意思決定段階 | 価格、導入方法、取引条件 | サービスページ、LP、見積り、相談窓口 |
| 導入後 | 活用方法、問題の解決方法 | マニュアル、活用事例、サポート情報、メール |

図:海外顧客の検討段階と、各段階で必要となるコンテンツ
コンテンツマーケティングというと、認知前の人へ向けた記事制作に目が向きがちです。しかし、海外企業との取引では、比較検討や問い合わせ後に必要となる情報も欠かせません。
特にBtoBでは、担当者だけでなく、上司、技術部門、購買部門など複数の関係者が判断します。各関係者が必要とする仕様、導入効果、取引条件、サポート体制などを用意する必要があります。
海外向けコンテンツマーケティングのメリットと注意点
海外向けコンテンツマーケティングは、広告とは異なる役割を持ちます。短期的な集客だけでなく、顧客が自社を知ってから比較・相談するまでの判断を支えられる点が特徴です。
顧客が営業へ相談する前から信頼を作れる
海外の顧客は、問い合わせる前にWebサイト、検索結果、SNS、事例などを調べます。
顧客の疑問に答える情報を用意しておけば、営業担当者と接点を持つ前から、自社の専門性や対応力を伝えられます。
作った情報を複数の接点で活用できる
一つの導入事例を、Webサイトの記事、短い動画、SNS投稿、広告のリンク先、営業資料などへ展開できます。
元となる情報を共有することで、媒体ごとの内容がばらばらになることを防ぎ、制作したコンテンツを継続的に活用できます。
検討期間の長い商材でも接点を維持できる
海外進出支援、産業機器、法人向けサービスなどは、最初の接点から問い合わせ・契約までに時間がかかることがあります。
記事、事例、ウェビナー、メール、SNSなどを通じて、検討段階に応じた情報を届けることで、すぐに商談にならない顧客とも接点を維持できます。
一方、成果が出るまでには、コンテンツの制作だけでなく、現地向けの調査・確認、配信、更新、効果測定が必要です。短期間で売上が増える施策と決めつけず、広告や営業活動と役割を分けながら評価する必要があります。
海外向けでは日本国内と何が違うのか
コンテンツマーケティングの基本的な考え方は、国内向けと海外向けで変わりません。ただし、海外向けでは顧客理解と運用の難易度が上がります。
顧客が使う言葉と検索行動が異なる
日本語のキーワードを直訳しても、現地の顧客が実際に使う検索語になるとは限りません。
同じ商品でも、国によって一般的な呼び方、課題の捉え方、比較条件が異なります。コンテンツを作る前に、対象国の検索結果、競合サイト、SNS、顧客から受ける質問などを調べる必要があります。
翻訳だけでなくローカライズが必要
正しい翻訳であっても、現地では意味が伝わりにくい表現や、文化的に響かない訴求があります。
言語だけでなく、事例、画像、単位、価格、商習慣、季節、価値観なども含め、現地顧客が自然に理解できる形へ調整します。詳しくは海外進出に必要なローカライズのメリットと実践ポイントもご覧ください。
信頼を判断する材料が異なる
海外の顧客にとって、日本企業との取引は、対応地域、納期、決済、返品、規制、言語対応、問い合わせ後のサポートなどに不安を伴います。
「高品質」「安心」といった抽象的な表現だけでなく、仕様、検査方法、導入実績、対応体制など、判断できる事実を示すことが重要です。
国によって利用される媒体が異なる
検索エンジンやSNSの利用状況は国・地域・顧客層によって変わります。
国内で成果が出た媒体をそのまま選ぶのではなく、対象顧客が情報収集、比較、相談に使う媒体を確認します。BtoBとBtoCでも適した媒体やコンテンツの形式は異なります。
制作と運用の体制が複雑になる
海外向けでは、日本側の事業担当者、翻訳者、現地スタッフ、広告運用担当者、SNS担当者など、複数の関係者が携わることがあります。
中心となるメッセージ、承認者、更新方法、問い合わせへの対応担当を決めておかなければ、媒体ごとの内容がばらばらになりやすくなります。
多言語サイトでは技術面の整備も必要です。Googleは、言語ごとに異なるURLを用意し、hreflangなどで対象言語・地域を示す方法を案内しています。Google検索セントラルの多地域・多言語サイトの管理方法も参考になります。
海外のコンテンツマーケティング成功事例
海外企業の事例を見ると、特定の媒体を使ったことよりも、「誰に、どのような価値を提供し続けているか」が重要だと分かります。
Red Bull:商品ではなく、顧客が関心を持つ世界を伝える
Red Bull Media Houseは、スポーツ、カルチャー、ライフスタイルを中心に、テレビ、デジタル、音声、印刷物など複数の媒体でコンテンツを制作・配信しています。
Red Bull Media Houseの公式情報を見ると、飲料商品の説明だけではなく、顧客が関心を持つテーマを軸に、メディア企業として継続的に情報を届けていることが分かります。
この事例から学べるのは、自社が伝えたいことから始めるのではなく、顧客が見たい、知りたい、体験したいテーマからコンテンツを設計することです。
GoPro:顧客が作ったコンテンツをブランドの資産にする
GoProは、利用者が撮影した写真や動画を募集し、優れた作品を表彰・紹介するGoPro Awardsを実施しています。
GoPro Awardsの公式発表では、利用者が撮影・共有したコンテンツを公式チャンネルなどで紹介する仕組みが説明されています。
商品の機能を企業側が一方的に説明するだけでなく、顧客が実際に撮影した映像によって、商品の魅力や利用場面が伝わる点が特徴です。
この事例からは、顧客の体験、作品、声をコンテンツへ取り入れることで、説得力と参加性を高められることが学べます。
ヤマサン:コンテンツの受け皿と配信施策を連携する
株式会社ヤマサン様の海外展開では、英語ECサイト、多言語LP、Google広告、プロモーション、インフルエンサーマーケティングなどを組み合わせ、海外からの問い合わせ増加と卸売り商談につなげています。
これは、特定の記事やSNS投稿だけで成果が出た事例ではありません。海外顧客が商品を理解できる情報と受け皿を用意し、広告やインフルエンサー施策で対象者へ届け、問い合わせ後の商談へつなげた総合的な海外マーケティング事例です。
詳しい取り組みは、海外向けECサイト・多言語LP・広告を組み合わせたヤマサン様の事例でご紹介しています。
海外向けコンテンツマーケティングの進め方
1.事業のゴールとCVを決める
最初に、海外市場で何を増やしたいかを決めます。
EC購入、販売代理店からの問い合わせ、見積依頼、資料請求、デモ予約では、必要なコンテンツと導線が異なります。
アクセス数やフォロワー数だけを最終目標にせず、その先の問い合わせ、商談、購入とのつながりを確認できるようにします。
2.対象国と顧客を具体化する
「海外の顧客」だけでは対象が広すぎます。
国・地域、業界、企業規模、担当者、抱えている課題、購入までの流れを整理します。最初は対象を絞って検証し、反応を見ながら広げる方法が現実的です。
3.顧客が必要とする情報を調べる
検索語、競合サイト、SNS上の会話、営業担当者が受ける質問、既存顧客の声などを調べます。
「自社が伝えたい情報」だけでなく、顧客が知りたい情報、比較時に不足している情報、購入を妨げている不安を洗い出します。
4.顧客の検討段階ごとにコンテンツを設計する
認知、情報収集、比較検討、意思決定の各段階で、顧客が持つ疑問と必要なコンテンツを整理します。
いきなり記事や動画を量産せず、既存のWebサイト、営業資料、事例、FAQなどを確認し、不足している情報から優先して作ります。
5.現地視点で制作・ローカライズする
文章の翻訳だけでなく、訴求、構成、画像、事例、CTAまで現地顧客の視点で確認します。
専門的な商材では、語学だけでなく商品や業界を理解している人の確認も必要です。自然な文章でも、仕様や強みが正しく伝わっていなければ成果につながりません。
6.コンテンツを届ける方法を選ぶ
コンテンツは、作っただけでは読まれません。対象顧客が利用する媒体と、施策の目的に合わせて配信方法を選びます。
- SEO:検索を通じて継続的に見つけてもらう
- SNS:認知、共有、対話、継続的な接点を作る
- メール:関心を持った人へ継続的に情報を届ける
- Web広告:対象者や検索ニーズを絞り、短期間で届ける
- 営業活動:商談やフォローで事例・資料を活用する
複数の方法を使う場合も、対象顧客、中心となるメッセージ、CVを共通にします。
7.問い合わせ・商談まで測定して改善する
媒体の数字だけでなく、事業成果までつなげて確認します。
| 対象 | 主な確認項目 |
|---|---|
| コンテンツ | 閲覧、読了、動画視聴、資料ダウンロード |
| 検索・広告 | 検索語、クリック、流入後の行動、CV |
| SNS | リーチ、反応、共有、サイト遷移、問い合わせへの貢献 |
| Webサイト・LP | CTAクリック、フォーム到達、問い合わせ内容 |
| 営業 | 初回返信、商談化、見積り、受注、失注理由 |
アクセスは増えたものの問い合わせにつながらない場合は、コンテンツの対象者、訴求、導線を見直します。問い合わせはあるものの商談にならない場合は、掲載情報、対象顧客、問い合わせ後の対応を確認します。
自社運用と外部支援の役割をどう分けるか
海外向けコンテンツマーケティングのすべてを外部へ任せる必要はありません。
事業目標、商品の正確な情報、顧客からよく受ける質問、ブランドとして守るべき表現、問い合わせ後の営業対応は、自社が中心となって決める領域です。
一方、次のような業務は、社内の知識や人員が不足している場合に外部支援を検討しやすい領域です。
- 海外市場・競合・検索語の調査
- 現地顧客に合わせた企画とローカライズ
- 多言語Webサイト・LPの制作
- 海外向けGoogle広告の設定・運用
- 海外向けSNSの企画・投稿・分析
- ネイティブや現地マーケターによる表現確認
外部へ依頼する場合も、「コンテンツを何本作るか」だけで選ばず、対象顧客、事業目標、配信方法、問い合わせ後の営業活動まで共有できるかを確認しましょう。
広告とSNS管理は、どの段階で必要になるのか
海外向けコンテンツマーケティングを設計すると、「必要な情報は用意できたが、対象者へ届いていない」「複数のSNSを継続して管理できない」という課題が生まれることがあります。
ここで広告運用やSNS管理が必要になります。
Google広告が向いている場面
Google広告は、商品名、課題、解決方法などを検索している人へ、関連するページを届けたい場合に向いています。
特に、海外向け施策を始めたばかりで自然検索からの流入が少ない場合や、対象国・検索語ごとの反応を早く確認したい場合に活用できます。
ただし、広告の成果は広告設定だけでは決まりません。検索語、広告文、リンク先のコンテンツ、問い合わせ導線を一つの流れとして改善する必要があります。
SNS管理が必要になる場面
国・ブランド・SNSアカウントが増えると、投稿予定、承認、コメント・メッセージ対応、効果測定が分散しやすくなります。
SNS管理ツールは、コンテンツ戦略そのものを作るものではありませんが、決めた戦略を継続的に運用し、顧客の反応を次の企画へ反映するための基盤になります。
グローハイが日本語で導入・運用を支援しているSprout Socialでは、複数SNSの投稿管理、エンゲージメント管理、分析レポート、チームでの運用などを一つの環境で行えます。詳しくはSprout Socialの日本語サポート・導入支援をご覧ください。
海外向けSNSの企画や運用については、海外向けSNSマーケティングの進め方でも解説しています。
海外向けコンテンツマーケティングを始める前に
海外向けコンテンツマーケティングでは、最初から記事、動画、SNS投稿を大量に作る必要はありません。
まず対象国と顧客を決め、顧客が知りたい情報と、現在不足している情報を整理します。そのうえで、必要なコンテンツを作り、SEO、SNS、メール、広告などから適切な配信方法を選びます。
重要なのは、コンテンツマーケティングをオウンドメディア、広告、SNSのいずれか一つと考えず、「顧客に役立つ情報を作り、届け、事業成果につなげる一連の戦略」として設計することです。
グローハイでは、海外向けGoogle広告、SNS運用、Sprout Socialの導入・運用、多言語Webサイト・LP制作などを支援しています。
海外向けのコンテンツはあるものの対象者へ届いていない、広告とリンク先が連携していない、複数のSNSを継続して管理できないという場合は、グローハイの海外Webマーケティング支援内容をご確認ください。
海外Webマーケティング全体の考え方は、海外Webマーケティングの基本戦略と成功事例でもご紹介しています。