こんにちは!グローハイの海外進出サポートチームです。
海外向けにWebサイトや資料を翻訳したのに成果が出ない──
そんな相談をよくいただきます。
理由はシンプルで、翻訳だけではユーザーは動かないからです。
海外で成果を出している企業が行っているのは、
ローカライゼーション(Localization)=現地に合わせた最適化。
本文では、
- ローカライゼーションとは?
- KFC / スターバックスなどの成功例
- 製品仕様やサービス内容を変えた日本企業の例
を紹介しながら、
「なぜローカライズするとユーザー行動が変わるのか?」
をわかりやすく解説します。
■グローハイでは海外オンライン展示会「VirtualExpo(ヴァーチャル・エキスポ)」の出展をサポートしています。
VirtualExpoは機械、建築、造船、医療、農機、航空の6分野における製造業のBtoB専門オンライン展示会です。
欧州や北米、南米、さらにはアジア、中東アフリカ等にもリーチ可能なオンラインによるビジネスマッチング・プラットフォームです。欧州バイヤーが半数以上を占めるVirtualExpoに出展することで、欧州を始めとする世界各国・地域への販路開拓が可能となります。
出展するには英語対応が必要で、グローハイでは日本企業様のVirtualExpoの営業窓口を担っております。
目次
第1章:ローカライゼーションとは?翻訳との違いとユーザー行動が変わる理由
1-1 ローカライゼーションとは?翻訳との明確な違い
1-2 なぜローカライズが必要なのか
第2章:ローカライゼーション成功事例|ユーザーの“欲しい”に合わせた最適化
2-1 大手企業の成功例(KFC/スターバックス)|文化適応でヒットを生んだ理由
2-2 大手トイメーカーのローカライズ|フォーカスグループで現地ニーズを反映(弊社事例)
2-3 試験・計測サービスのローカライズ|ニーズに合わせたメニュー最適化(弊社事例)
第3章:事例からわかる|ローカライズは“選ばれる理由”を作る
3-1 ローカライズがユーザー行動を変える3つの要因(理解・共感・選択)
3-2 価格ローカライズの重要性
第1章:ローカライゼーションとは?翻訳との違いとユーザー行動が変わる理由
1-1 ローカライゼーションとは?翻訳との明確な違い
ローカライゼーション(Localization)は、
「読む」だけでなく “使える・買える状態にすること” です。
翻訳(Translation)は 言葉を別の言語に置き換える作業 ですが、
ローカライゼーションは ユーザーが違和感なく利用できるように最適化する作業 です。
たとえば、海外サイトを見てこんな経験はありませんか?
- 値段がドル表記で「いくらかわからない」
- 住所入力で「都道府県」という欄がなくて詰む
- サイズ表記が inch / feet でイメージできない
理解できても、行動につながらない状態です。
これが「翻訳だけ」ではダメな理由です。
✅ 翻訳とローカライゼーションの違い
| 観点 | 翻訳 | ローカライゼーション |
| ゴール | 内容を理解してもらうこと | 行動(購入・問い合わせ)へつなげること |
| 対象 | テキスト | テキスト + UI/UX + 仕様 + 価格 + 写真 + 決済方法 |
| 例 | 英語を日本語に変える | 日付形式、通貨、サイズ、写真、表現まで現地に合わせる |
✅ ローカライゼーションで実際に変わるもの(例)
- 通貨表記:¥ → $(日本:税込表示が一般的 / アメリカ:税別表示が一般的)
- 日付:2024/03/01 → 03/01/2024
- 単位:cm / kg → inch / lb
- 写真:日本→アジア系の人物、米国→多様な人種が写っているほうが好まれる
UI、価格、写真、サイズ、決済…。
「売れるためのすべて」がローカライゼーションの対象です。
1-2 なぜローカライズが必要なのか
理由はシンプルです。
ユーザーは “自分向けではない” と感じた瞬間に離脱するからです。
ユーザーの意思決定は、文化・習慣・価値観・市場環境によって変わります。
✅ 文化・価値観の違いで「欲しいもの」が変わる例
| 分類 | 日本 | アメリカ |
| 食文化 | 朝は軽食(パン/おにぎり) | 朝から温かい料理(卵・肉など) |
| 価値観 | 安さ・コスパ重視 | “自分に合っているか / 便利さ”重視 |
| 価格感 | おにぎり600円=高い | おにぎり$4.99(約750円)=“良いスナック” |
→ 価格ローカライズが必要になる理由。
✅ 市場特性の違いで「製品仕様」が変わる例
- ゴルフクラブ
- 日本:軽くて柔らかいシャフトが好まれる
- アメリカ:体格差により、重くて硬いクラブが売れる
「翻訳して説明を変える」のではなく、製品そのものを変える必要があります。
✅ UI/UXの違いで「離脱」する例
- 入力フォームで「都道府県」が必須(海外ユーザーは入力できない)
- 郵便番号が日本は7桁 / アメリカは5桁
- 住所が 日本:県 → 市 → 番地 / アメリカ:番地 → 市 → 州
→ たったこれだけでユーザーは購入を諦めます。
また、WebサイトやLPも国ごとに好まれる情報量・デザインが違うという事実があります。
| 項目 | 日本ユーザーの傾向 | アメリカユーザーの傾向 |
| 情報量 | 情報が多いほど安心できる | シンプルで要点だけ知りたい |
| ページ構成 | 説明が長く、比較して判断する | まず “Contact / Try” が行動として早い |
| コンテンツ | 詳しい説明、文字情報重視 | 画像・CTA重視、余白多め |
日本向けのサイトを英語にするだけでは、アメリカでは刺さらない。
実際に弊社の海外向けWebサイト支援では、
- 日本版サイト → 翻訳するだけではなく
- アメリカ向けは 構成・デザイン自体を作り直す
という対応をしています。
サイトを「読んでもらう」だけでなく、
行動してもらう UI/UX に最適化する必要があります。
✅ 決済・物流・商習慣の違い
- 日本:ほぼ返品不可が一般的
- アメリカ:返品フリーが当たり前(返品できないと買わない)
- 日本:クレジット決済が中心
- 欧州:デビットカード / PayPal / Klarna(後払い)が主流
→ 「買えない」=「売れない」。
◆ まとめ(1-1 / 1-2)
- 翻訳は「理解のため」
- ローカライゼーションは「行動してもらうため」
つまり、
ローカライズの目的は “ユーザー行動を変えること”。
読めるようにするだけでは、サービスは使われません。
「自分向けの商品だ」と思わせた瞬間、ユーザーは動きます。
第2章:ローカライゼーション成功事例|ユーザーの“欲しい”に合わせた最適化
2-1 大手企業の成功例(KFC/スターバックス)|文化適応でヒットを生んだ理由
■ KFC(中国)|メニューを「現地の食文化」に合わせてローカライズ
KFCは、中国で朝食文化に合わせた独自メニューを展開しています。
- お粥(粥メニュー)
- 油条(揚げパン)
- 豆乳ドリンク など
中国では 朝食=温かい食事を外で買う文化 が強く、
「朝食を外で食べる」行動が一般的です。
KFCはこの文化に合わせて、
ハンバーガーではなく、中国の朝食文化に馴染むメニューを追加した
という点が特徴です。
結果、多くの地域で マクドナルドより高い店舗数を展開するまでに成長しています。
(※公開情報:KFCは中国国内で8,000店舗以上)
ポイントは、
- “アメリカの朝食” を押し付けなかった
- 現地の「当たり前」に合わせた
という点です。
■ スターバックス(日本)|文化・季節イベントを商品化
スターバックスは、日本市場で 季節・文化に合わせた限定商品を毎年展開しています。
代表例:
- 桜(SAKURA)」シリーズ
→ 春の “花見” のイメージに合わせた商品とデザイン - 地域ごとの限定タンブラー
→ 旅先で購入する “お土産需要” に対応
日本では “四季のイベント” や “限定商品” への関心が高いことから、
- パッケージデザイン
- 味やフレーバー
- ショップの装飾
を 「季節イベントに合わせる」ローカライズ を行っています。
「桜シリーズ」は毎年SNSで話題になり、
期間限定商品=毎年の恒例イベント として定着しています。
スターバックスがやったことは、
現地の文化・季節イベントを理解し、商品に取り込んだ
という点です。
■ 共通点(KFC・スターバックス)
両社に共通するのは、
- 自社の商品(ハンバーガー / コーヒー)を変えたのではなく、
- 現地の “当たり前” に合わせたメニューに置き換えた
という点です。
2-2 大手トイメーカーのローカライズ|フォーカスグループで現地ニーズを反映(弊社事例)
ある大手トイメーカーでは、海外展開にあたり、「現地の声を聞くこと」を最優先にしました。
最初に行ったのは、フォーカスグループ(現地ユーザーの座談会)です。
消費者や販売ディストリビュータに直接ヒアリングを行い、
- 子どもの年齢ごとの遊び方
- 家庭での過ごし方・生活習慣
- 教育・しつけに対する考え方
などを細かく調べました。
この調査で、日本とアメリカでは前提が全く違うことがわかりました。
| 観点 | 日本 | アメリカ |
| 子どもとの寝方 | 親と一緒に寝る家庭が多い | 早い段階で「子ども部屋」で寝る |
| おもちゃの使われ方 | 家族で一緒に遊ぶ時間が長い | 個々が自分のペースで遊ぶことが多い |
| 教育観 | 「できることを増やす」 | 「自由に表現させる」 |
この 生活習慣と教育観 の違いによって、求められる製品の「機能」自体が変わることが明確になりました。
その結果、商品仕様を調整し、
- 音や光の強さ
- 操作の難易度
- 子どもが一人で扱いやすい設計
など、アメリカ市場に合わせて機能を変更しました。
ローカライズ後の商品は、
現地の消費者やディストリビュータから 高く評価され、市場での受け入れがスムーズになりました。
言語を変えるだけではなく、「生活の前提が違う」という事実を理解したことが成功の要因です。
2-3 試験・計測サービスのローカライズ|ニーズに合わせたメニュー最適化(弊社事例)
試験・計測サービスを提供する企業では、試験メニューの数を市場に合わせて最適化しています。
例えば、日本では 10 項目の試験メニューをセットで案内していましたが、
アメリカ市場では、需要の高い試験を3つのメニューに絞って提示しています。
アメリカは 州ごとに盛んな産業が異なる 特徴があります。
| 州 | 主な産業例 | ニーズが高い試験例 |
| カリフォルニア州 | IT / 電子機器 / EV | 振動試験 |
| テキサス州など | 製造業 / エネルギー関連 | 耐久試験 / 強度試験 |
特にアメリカでは、国内での移動距離が長く輸送工程が複雑になるため、
輸送中の破損を防ぐために「振動試験」への需要が高いという特徴があります。
この市場特性を考慮し、
必要な試験だけに絞って紹介するメニュー構成へ変更しています。
第3章:事例からわかる|ローカライズは“選ばれる理由”を作る
3-1 ローカライズがユーザー行動を変える3つの要因(理解・共感・選択)
これまでの事例からわかるのは、
ローカライゼーションは単に言語を変える作業ではなく、ユーザーの行動を左右する要因だということです。
ユーザーが「この製品・サービスを使おう」と判断するまでには、
次の3つの段階があります。
- 理解できること(Understand)
まず、言葉が通じることが前提です。
しかし、それだけでは行動にはつながりません。
例:英語を翻訳しただけのサイトでは、情報は読めても「自分向け」とは感じにくい。 - 共感できること(Relate)
内容や表現が、その国の文化や価値観に合っていると、ユーザーは「自分のためのもの」と認識します。
KFCが中国でお粥を販売したように、文化的背景を理解した発信は共感を生みます。 - 選択できること(Choose)
最後に、ユーザーが迷わず選べる状態に整えることが重要です。
試験・計測サービスの事例では、必要なメニューだけを明確に提示したことで、選びやすくなったという点が該当します。
この3つの要素が揃うことで、
ユーザーは「理解 → 共感 → 選択」というプロセスを自然に進み、結果として行動が生まれます。
ローカライゼーションはこのプロセス全体を支える仕組みであり、
“翻訳では生まれない購買行動”を引き出す設計と言えます。
3-2 価格ローカライズの重要性
ローカライゼーションでよく見落とされがちなのが、価格設定の違いです。
価格は単なる数字ではなく、その国の購買感覚・価値観を反映します。
日本とアメリカを比較すると、その差は明確です。
| 商品例 | 日本の価格感覚 | アメリカの価格感覚 |
| おにぎり | 600円だと「高い」と感じる | $4.99(約750円)でも「普通」と感じる |
| ペットボトルのお茶 | 150〜200円が一般的 | $3.5〜$5(約400〜700円)でも売れる |
この違いは、「何に価値を感じるか」の違いから生まれます。
アメリカでは、「健康的」「オーガニック」「輸入品」などに付加価値を見出し、
多少高くても購入する傾向があります。
そのため、単純に日本円をドルに換算しただけでは、適正価格になりません。
価格のローカライズもまた、重要な戦略のひとつです。
たとえば、
- 市場の平均単価をリサーチする
- 消費者が「高品質」と感じる価格帯を分析する
- 為替レートだけでなく、購買力(PPP:購買力平価)も考慮する
といった対応が必要になります。
価格設定を現地の基準に合わせることは、
「現地ユーザーにとって適切な価値を提示する」ことにつながります。
おわりに
ローカライゼーションは、翻訳ではありません。
現地ユーザーの前提に合わせて、使える・選べる状態に整えることです。
事例で見たように、
- KFCは中国の朝食文化に合わせて「お粥」を販売
- スターバックスは日本の季節イベントに合わせて商品を展開
- その国の文化や暮らしに注目し、子供用おもちゃの機能を変更
- 試験サービスのメニューを、市場のニーズに合わせて絞り込む
製品やサービス自体をローカライズする動きが見られます。
言語を変えるだけでは、ユーザーは行動しません。
現地の文化・価値観・市場に合わせて最適化することが、“選ばれる理由” になります。
今回紹介したローカライゼーションについては
下記の記事でも詳しく紹介しておりますので、ぜひご覧ください。
海外進出を成功に導く「ローカライズ」とは?概要とメリットをわかりやすく解説:https://glohai.com/blog/4192
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出展するには英語対応が必要で、グローハイでは日本企業様のVirtualExpoの営業窓口を担っております。