こんな悩みはありませんか?
- 海外進出を考えているけれど、進出先の市場動向が分からない・・・
- 海外市場を調査したいけれど、どうすれば良いの?
- 海外市場調査に有効な手段って?
など、
市場調査は、ターゲット顧客のニーズを把握し、自社の商品やサービスを海外マーケットで売り出していく上で非常に有効な手段です。しかし、海外進出を成功へと導くためには、市場調査の目的を明確にし、計画的に実行していくことが重要です。
本記事では、市場調査の具体的な方法や実施におけるステップを分かりやすく解説し、企業の皆様の海外進出を後押しします。
目次
- 市場調査とは
- 市場調査の具体的な方法
- 海外市場における市場調査の注意点
1.市場調査とは
市場調査の概要
市場調査とは、企業がマーケティング活動を行う上でターゲットとなる顧客から様々な情報を収集し、分析する手法のことです。
目的や重要性
市場調査の主な目的は、新規ビジネスを開始する際に、あらかじめ対象となる市場に関する懸念事項を把握・解消させておくことです。日本で新規ビジネスを開始する際と同様に、海外市場への進出を図る際にも、自社の商品やサービスに関して綿密な調査や計画に基づいた開発から販売までのプロセスが重要です。
実施するメリット
市場調査は、ターゲット顧客の情報を収集し分析するだけでなく、顧客に対して自社の商品やサービスを買ってもらうためのマーケティング施策の役割も担っています。
顧客を自社の商品やサービスの購買に結びつけるためには、顧客にとって自社ブランドが魅力的に伝わる必要があります。そのために、顧客が自社の商品をどう思っているのか、どのようなニーズがあるのかなどの情報を収集し、その情報をもとに施策を実行していくことで、顧客に対して適切なアプローチができるようになります。
市場調査の種類
・自社分析
市場調査の種類の一つ目は、自社分析です。市場における自社の強みや弱み、脅威、機会を明文化します。
具体的な分析項目としては下記のものが挙げられます。
- 海外輸出経験の有無
- 海外取引に関する知識のある社員の有無
- 海外取引に費やすことができる資金の額
- 自社商品やサービスの強み・弱み
- 海外での自社ブランドの認知度 など
自社の市場における立ち位置を把握することで、競合他社との差別化を効率良く実施することができます。
・マーケット調査
二つ目の手法は、マーケット調査です。マーケット調査では、主にデスクトップリサーチを行います。企業ホームページだけでなく、政府機関や専門機関の統計データやレポート等から情報を収集し、市場規模や需要予測、市場シェア、対象国の日系企業数や訪日観光客数等を調べましょう。
調査した内容は、国ごとや項目ごとに一覧にまとめることで比較検討が容易になります。
・顧客ニーズ調査
三つ目の手法は、顧客ニーズ調査です。ビジネスの内容は多岐に渡るため、ターゲット国の顧客ニーズを適切に把握することが重要です。
調査項目としては、下記のものが挙げられます。
- 顧客の購買決定要因(KBF:Key Buying Factor)
- 購入意思決定者(DMU:Decision Making Unit)
- 購入チャネル など
これらの情報は、インターネット上に出回っていない場合もあるため、実際に顧客から情報を収集する必要があります。オンライン調査やグループインタビューを活用して顧客生の「声」を集めましょう。
・競合調査
四つ目の手法は、競合調査です。進出を考えている市場において、ローカル企業がすでに独占・寡占状態であると、進出したとしても成功する可能性が低くなってしまいます。そのため、そもそも市場へ進出する余地があるか、競合企業の数やすでに人気の高い商品やサービスについて徹底的に調べる必要があります。
調査項目としては、下記のものが挙げられます。
- 競合企業の特徴
- 競合の売れ筋商品
- 競合企業の特徴
- 競合企業の販促方法
- 競合企業のマーケティング・広告戦略 など
これらの情報の多くは、企業のホームページ等で公開されています。インターネット上で収集した情報をもとに、インタビュー調査を経て裏付けを行うことも効果的です。さらに、競合企業がパートナー候補企業へと転じる可能性もあるため、「もし一緒に事業を行うならどこを選ぶか」という観点で調査を実施することも有効です。競合調査については、こちらの記事をご参照ください。
・法・規制調査
五つ目の手法は、法・規制調査です。例えば、東南アジアでは外資規制を敷いている国が多く存在します。国によっては、外資企業が土地を取得できない場合もあり、自身の業種や業態に関する法律や規制に関しては、常に最新の情報を収集しておくことが重要です。
現地でのビジネスが認可され、ライセンス取得の対象事業に該当する場合にも同様に事前に入念な調査を実施し、ライセンス取得までの期間をも含めたスケジュールを立てることが有効です。
・パートナー企業調査
六つ目の手法は、パートナー企業調査です。競合調査でも述べた通り、競合企業がパートナー候補企業へ転じる可能性もあります。顧客やマーケット、競合、法規制などの調査を経て、合弁事業を実施する際には、次のステップとしてパートナー企業の選定調査を行う必要があります。
調査の際には、対象企業のリストを作成しましょう。まず、候補先の条件を設定し、事業エリアや事業規模、取扱い製品やサービス、株主構成等を調べ、リストから絞り込みを行い、候補先との面談を経て最終的な締結となります。
2.市場調査の具体的な方法
調査方法の種類
・定量調査
定量調査とは、数値で表すことができるデータを収集・分析する手法です。
一般的には、インターネットや対面などでアンケートを実施します。
定量調査の代表的な方法としては、下記のものが挙げられます。
- ネットリサーチ
インターネットを通じて顧客にアンケートに回答してもらい、その結果を集計し分析します。
調査のすべてがインターネット上で完結するため、比較的低コストでスピーディーに調査を実施することができます。
- 会場調査
所定の会場に顧客を集め、自社の商品やサービスを実際に体験してもらったり、試飲や試食をしてもらったりすることで顧客評価を収集します。
- 郵送調査
アンケート用紙や、インターネット上のアンケートを案内する書類を郵送で回答対象者に送付して、回答後返信してもらいます。ターゲット企業や特定の団体、病院、学校などに直接アプローチすることができ、普段は得られないような情報を収集することができます。
- ホームユーステスト
顧客が普段の生活の中で自社の商品やサービスを実際に使用し評価してもらうことを目的に、その商品やサービスをアンケートの案内と一緒に対象者に送付します。こちらは、顧客が効果を実感するまである程度の期間を要する場合に有効な手法です。
・定性調査
定性調査とは、数値データではなく、インタビューなどでヒアリングを行う手法です。インタビューを行うことで、顧客の行動や感情の背景にある潜在ニーズを分析することができます。
定量調査の代表的な方法としては、下記のものが挙げられます。
- デプスインタビュー(DI)
インタビューアーと対象者の1対1でインタビューを行います。対象顧客の趣向を徹底的に深堀ることができるため、欲しい情報を効果的に収集することができます。
- グループインタビュー(FGI)
4〜6名ほどの少人数の対象者に対してインタビューを行います。定性的な情報を一度に複数人から収集することができます。ここでは、モデレーター(参加者に話を振り情報を引き出す人)の役割が非常に重要となります。グループインタビュー(FGI)については、こちらの記事をご参照ください。
- 訪問観察調査
人の行動や生活環境を観察し、インタビューを行う調査手法です。インタビュー調査と異なり、その人がどのような行動をするか、どのような環境で生活しているか、といった情報も分析対象とすることに特徴があります。
- オンラインインタビュー
オンライン上で行うインタビュー調査です。インターネット環境があればどこでも実施することができ、お客様、対象者双方にとって、場所と時間の制約が小さいインタビュー手法です。
実施の流れ
・ステップ1:調査目的を明確にする
市場調査を実施する際には、まず調査目的を明確にすることが重要です。自社が抱えている課題や海外市場への進出目的を明文化することで、市場調査の成果を高めることができます。
市場調査の目的設定には、具体的に下記のようなものが挙げられます。
- 顧客のニーズ、ライフスタイル、購買行動、認知利用実態、満足度、競合商品との比較情報などの基礎情報を収集する
- 消費者のニーズや不満点を把握し、新規商品アイデアやコンセプトへ活かす
- ブランドコミュニケーションが、対象顧客にとって適切なものであるか確認する
- 既存商品の問題点を探り改善へのアプローチ手法を得る
- 新商品コンセプトの実際に商品化した際の受容性を確かめる
・ステップ2:調査設計を行う
調査目的が明確化したら、次は調査設計です。計画設計では、どのような方法で調査を実施するかを決定します。ステップ1で明らかとなった課題や目的に応じた適切な調査方法を選択するようにしましょう。
・ステップ3:調査を実施する
調査設計が完了したら、実際の調査に移ります。調査実施においては、調査対象者の適切な選定が重要です。
一般的な定量調査では、調査対象者は平均的なユーザーである場合がほとんどですが、新規ビジネス策定における調査においては、商品やサービスについて極端な利用をしている「エクストリームユーザー」を調査対象とすることが有効であるなど、調査目的に適した対象者を選定するようにしましょう。
・ステップ4:結果分析・仮説検証を行う
調査実施後は、データの集計・分析を行い、レポートを作成しましょう。その際、ただ調査結果をまとめるのではなく、今後どのようにそのレポートを活用するのかを念頭に置きながら作成することで事業の効果的な改善に結びつけることができます。
・ステップ5:意思決定を行う
海外進出における仮説検証の市場調査を実施したのであれば、その検証結果をもとに、マーケティング施策を考える、商品やサービスを改良するなど、次のアクションをとる上での意思決定を行いましょう。
3.海外市場における市場調査の注意点
言語の問題
海外市場調査において注意すべき点の一つは、言語の問題です。マーケット調査手法として、デスクトップリサーチは現地政府や公的機関の情報を収集できるという点で有用ですが、これらの情報は現地の言語で書かれていることがあるため、現地の言語を適切に理解する必要があります。また、実際に現地に出向いて市場調査を実施する際には、ビジネスレベルでの言語スキルが求められます。
社内に現地語の話せるスタッフがいれば問題ありませんが、マイナーな言語の場合、その言語に精通した人材を確保することは難しくなります。そのため、あらかじめ現地で代わりに市場調査を実施してもらう人材を雇ったり、日本で海外市場調査を専門とする外部企業に委託したりするなど、外部サービスを活用することも有効です。
地理的な問題
国や地域ごとに宗教や民族、法律、文化、商習慣は異なるということを念頭において調査をすることが必要です。実際に現地に出向いて市場調査を実施する場合は、特にその地域に適した調査手段を活用することが求められます。調査全体にかかるコスト等を考慮して、外部サービスに委託することも検討しましょう。グローバリゼーションについては、こちらの記事をご参照ください。
・グローバル化のデメリット・メリット、日本企業の課題と解決策
まとめ:グローハイが海外進出をサポート
本記事では、海外市場調査の具体的な手法と実施する上での注意点について紹介しました。海外進出は、自社のリソースだけでは難しい場合があります。そのため、現地市場に精通したパートナーと協力して調査を実施することが効果的です。グローハイでは、現地スタッフへの調査依頼やターゲット国へのマーケット戦略の立案など、企業の皆様の海外進出を包括的にサポートいたします。ご興味いただけましたら、一度お問い合わせください。