こんにちは!グローハイの海外進出サポートチームです。
私たちは、日本企業のグローバル展開をサポートするコンサルティング会社として、これまで数多くの企業の北米市場進出をお手伝いしてきました。
その中でも近年、特に多く寄せられているのが「アメリカで会社を設立したい」というご相談です。
法人を設立することで、現地企業との取引の信頼性が高まり、マーケットへの本格参入がスムーズになる一方で、「どの州で設立すべきか」「LLCとC-Corpの違いは?」「税務や運用のリスクは?」など、初めての方には分かりづらい点も多くあります。
本記事では、アメリカでの会社設立を検討中の皆さまに向けて、失敗しないために事前に知っておくべき基礎知識や注意点をわかりやすく解説していきます。
海外法人設立の第一歩として、ぜひご活用ください。
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VirtualExpoは機械、建築、造船、医療、農機、航空の6分野における製造業のBtoB専門オンライン展示会です。
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目次
第1章|なぜアメリカで会社設立が注目されているのか?
- 日本企業・個人の海外進出トレンド
- アメリカ起業のメリット
- どんな人・ビジネスに向いているか
第2章|事前に押さえるべき5つの落とし穴と対策
- 法人形態選びを間違える(LLCかC-Corpか)
- 州の選び方で税金やコストが変わる
- EIN(納税者番号)の取得が遅れると口座が作れない
- 現地住所・登記住所の要件に注意
- ビザ・就労資格との整合性を無視すると後でトラブルに
第3章|会社設立の基本フローと必要書類
- 設立までのステップ
- 必要な情報・書類一覧
- オンライン代行サービスの活用
第4章|設立後に必要な手続きと維持コスト
- 年次報告・納税義務などの継続管理
- 銀行口座・会計・税務申告の実務
- オフィス・雇用管理の実務的ポイント
終わりに|「目的」と「運用設計」が成功のカギ
第1章|なぜアメリカで会社設立が注目されているのか?
日本企業・個人の海外進出トレンド
国内市場の縮小や円安の長期化により、製品・サービスの販路を海外に広げようとする日本企業の動きが活発化しています。特に中堅・中小企業においては、「まずは法人格を持って北米市場に参入し、徐々に事業をスケールさせていく」という段階的な進出戦略が一般化しつつあります。
また、従来のように大企業だけでなく、オンライン販売やソフトウェア事業など、初期投資を抑えられる業種の企業がアメリカ進出を検討するケースも増加しています。こうした企業にとって、現地法人を持つことは信用獲得・決済手段の拡充・物流整備など、事業推進における基盤構築に直結します。
アメリカ起業のメリット
アメリカで法人を設立する主なメリットには以下のようなものがあります。
- グローバル市場へのアクセス: 世界最大の消費市場に法人格を持つことで、販路や商談のチャンスが大幅に広がる
- 法人格の信頼性: アメリカ法人は国際取引での信用力が高く、パートナー・顧客・投資家からの信頼を得やすい
- スピード感のある登記制度: 州によってはオンライン完結・最短数日で設立可能
- 利用できるサービスの幅: StripeやPayPalなど、アメリカ法人向けに提供されるビジネスインフラを利用できる
特にITやSaaS、越境ECなど、物理的な拠点よりも法人格・取引基盤が重視されるビジネスにとって、アメリカ法人は大きなアドバンテージになります。
どんな人・ビジネスに向いているか
アメリカでの会社設立は、以下のような事業者に適しています。
- 北米市場をターゲットに商品やサービスを展開したい企業
- 国際決済や越境物流をスムーズに行いたいEC・ソフトウェア関連企業
- 海外顧客やパートナーに対して法人格を示し、信用を高めたい中小企業
- VC・エンジェル投資家との接点を持ちたいスタートアップ企業
一方で、主に国内で完結する業務を行っている企業や、アメリカの法規制や税制に対応できる体制が整っていない場合には慎重な判断が必要です。
第2章|事前に押さえるべき5つの落とし穴と対策
アメリカでの会社設立は手続き自体は比較的シンプルですが、事前の判断を誤ることで後々大きな手間やコストが発生することがあります。ここでは、よくある5つの落とし穴と、それを防ぐための対策を解説します。
1. 法人形態選びを間違える(LLCかC-Corpか)
アメリカ法人には主にLLC(合同会社)とC-Corp(株式会社)があります。それぞれの税務処理やガバナンス構造に違いがあるため、目的に合った選択が重要です。
- LLC: 利益は個人所得として課税(パススルー課税)。運営が柔軟で、個人事業主や少人数の会社に向いている
- C-Corp: 法人として課税された上で、配当にも課税(二重課税)。ただし、株式発行や投資受け入れに強く、成長型ビジネスに適している
対策: 自社のビジネスモデル・資金調達計画・税務戦略に応じて選定を。将来的な投資・M&Aを視野に入れる場合は、初めからC-Corpを選ぶのが望ましい場合もあります。
2. 州の選び方で税金やコストが変わる
アメリカは州によって法人税率や登録コスト、維持コストが大きく異なります。特に法人設立が簡易で人気な州としては、デラウェア州、ワイオミング州、ネバダ州などが挙げられます。
ただし、実際にビジネスを行う州とは別の州で登記する場合、外国法人登録(Foreign Qualification)が必要になる可能性があり、余計な管理コストがかかることも。
対策: 「登記のしやすさ」だけでなく、「実際に事業を行う場所」との整合性を考慮して、慎重に州を選定しましょう。
3. EIN(納税者番号)の取得が遅れると口座が作れない
EIN(Employer Identification Number)は、アメリカで法人活動を行うための納税者番号で、銀行口座開設・給与支払い・税務申告などに必須です。
特に銀行口座開設を急ぐ場合、EINの取得が遅れると事業の立ち上げ全体に支障が出る可能性があります。外国人代表の場合は、申請に時間がかかることも。
対策: 設立手続きと並行して、できるだけ早めにEIN申請を行う。申請はIRS(アメリカ内国歳入庁)へのフォーム提出で、通常は数営業日〜2週間程度で取得可能です。
4. 現地住所・登記住所の要件に注意
アメリカで法人を登記する際には、登記上の住所と登録代理人(Registered Agent)の住所が必要です。州によっては、PO Box(私書箱)を認めていないケースもあります。
また、現地住所がないことで、書類の受け取りや銀行とのやり取りに支障が出ることもあります。
対策: 信頼できる登録代理人サービスやバーチャルオフィスを活用し、法的に有効な現地住所を確保しておくことが重要です。
5. ビザ・就労資格との整合性を無視すると後でトラブルに
アメリカ法人を設立しても、それだけでは現地での就労・居住が認められるわけではありません。法人設立は誰でも可能ですが、その後現地で経営や業務に従事する場合には、適切なビザ(E-2、L-1など)が必要です。
ビザ要件を無視して活動を行うと、入国拒否や将来的なビザ申請への悪影響が発生するリスクがあります。
対策: 現地での活動予定がある場合は、ビザ取得の可否を事前に専門家と相談した上で設立計画を立てましょう。就労を伴わない資産保有やリモート業務に限る場合でも注意が必要です。
第3章|会社設立の基本フローと必要書類
アメリカでの法人設立は、州や法人形態によって詳細は異なるものの、一定の標準的な流れと必要書類があります。この章では、実際の設立プロセスをステップごとに解説し、必要な情報や書類、代行サービスの活用についても紹介します。
設立までのステップ
アメリカ法人設立の基本的な流れは、以下の通りです。
- 法人形態の選定(LLCまたはC-Corpなど)
ビジネスモデルや税制上の目的に応じて法人形態を決定します。 - 登記州の選定
税制や登記費用、事業拠点の有無などを考慮して州を選びます(例:デラウェア州、ネバダ州、カリフォルニア州など)。 - 会社名の決定と事前検索
希望する会社名が既に他社に使用されていないか、州政府サイトで調査し、登録可能か確認します。 - 定款(Articles of Incorporation / Organization)の作成・提出
州政府に会社設立の申請書類を提出します。電子申請が可能な州も多く、通常数日〜2週間ほどで設立完了します。 - Registered Agent(登録代理人)の指定
各州において、登記・通知を受け取るための現地代理人の設置が義務付けられています。 - EIN(Employer Identification Number:連邦納税者番号)の取得
米国内で税務処理・銀行口座開設・従業員雇用を行うために必須の番号で、IRS(国税庁)へ申請します。 - 銀行口座の開設
現地またはオンライン銀行で、法人名義のアカウントを開設します。EIN取得後でないと申請できません。
必要な情報・書類一覧
設立の際には、以下のような情報や書類が必要になります(州や法人形態によって若干異なります)。
- 会社名(英語表記)
- 会社の所在地・登記住所(Registered Agentを通じて取得可能)
- 事業内容(業種分類)
- 発起人・出資者の氏名・住所・国籍
- 株式(C-Corpの場合)の発行数や構成
- EIN申請用のSS-4フォーム(法人情報や代表者情報を記載)
書類作成や提出の際に、英語での正確な記入が求められるため、不慣れな場合は専門家のサポートが有効です。
オンライン代行サービスの活用
近年では、外国企業・非居住者向けにアメリカ法人の設立をオンラインで代行するサービスが充実しています。たとえば以下のものがあります。
- Stripe Atlas(主にC-Corp向け。銀行・決済サービス連携が強い)
- Firstbase.io や Doola(LLC/C-Corp対応。書類テンプレや管理ダッシュボード付き)
- LegalZoom(幅広い登記サービスと追加オプションを提供)
これらは英語圏を中心とした海外事業者向けに設計されており、手続きがすべて英語で進む点に不安を感じる日本企業も少なくありません。
そこで、日本語でサポートを受けながら設立を進めたい企業には、弊社のような日本企業専門の法人設立代行サービスの活用が効果的です。
弊社グローハイは、日本企業のアメリカ進出支援に特化したコンサルティング会社であり、以下のような包括的な支援を提供しています。
- 州選定・法人形態のアドバイス
- 定款作成・提出代行
- EIN取得サポート
- 銀行口座・決済サービスの開設支援
- 日本語によるビザ・税務・現地運営の相談対応
アメリカでの法人設立は単なる登記だけでなく、その後の運用・維持や法規制対応まで含めて考える必要があります。日本語対応と現地知見を併せ持つ支援会社を活用することで、初めてのアメリカ進出でも安心して進めることができます。
弊社のサービスに関しまして詳しくはこちらをご覧ください。
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第4章|設立後に必要な手続きと維持コスト
アメリカ法人は、設立しただけで完結ではありません。設立後も定期的な手続きや維持コストへの対応が必要であり、それを怠るとペナルティや信用失墜のリスクにつながります。ここでは運営フェーズでのポイントを3つに分けて解説します。
年次報告・納税義務などの継続管理
アメリカでは多くの州で、年に1回の「年次報告書(Annual Report)」の提出と、州ごとの法人維持費(Franchise TaxやAnnual Fee)の支払いが義務付けられています。
たとえばデラウェア州では、C-Corpであれば年次報告とともにFranchise Taxを毎年支払う必要があり、最低でも年間$225以上が発生します。提出を怠ると延滞金や法人資格の取り消しにつながるため、カレンダーに基づいた確実な運用管理が不可欠です。
また、連邦レベル・州レベルの法人税申告(Form 1120など)も必要です。売上が少なくても「申告義務」は発生するため、「利益が出ていない=何もしなくていい」ではない点に注意が必要です。
銀行口座・会計・税務申告の実務
法人設立後は、法人名義の銀行口座を開設し、すべての収支を適切に管理していく必要があります。米国では日本以上に「法人・個人の会計分離」が厳格に求められており、ビジネスアカウントでの入出金が基準になります。
加えて、以下のような会計・税務対応が必要です。
- 会計ソフトやクラウド簿記ツールの導入(QuickBooksなど)
- 月次または四半期での帳簿整理
- 年次でのCPA(米国会計士)による決算レビュー・税務申告
日米間での出資や送金がある場合は、移転価格税制や日米租税条約の考慮も必要となるため、専門家の関与が不可欠です。
オフィス・雇用管理の実務的ポイント
実体のあるビジネスとして信用を築くためには、単なる「法人登記」だけでなく、事業実態を伴う運用体制の構築が求められます。
- アメリカ国内のオフィス住所やバーチャルオフィスの活用
- 現地スタッフの採用・契約・労務管理(W-2または1099など)
- 州ごとの労働法規や社会保障制度への対応
などがあります。特に人材を雇用する場合には、雇用主登録(EINに基づく)、給与税の控除、労働保険加入といった手続きが必要です。これらを正しく行わないと、後々の監査やトラブルの原因になります。
アメリカ法人の「運用」は、日本とは制度も習慣も大きく異なります。設立後の対応こそ、進出を成功させるうえでの最重要フェーズだと言えるでしょう。
終わりに|「目的」と「運用設計」が成功のカギ
アメリカでの会社設立は、単なる登記手続きにとどまりません。事業目的や展望に合わせた法人形態・州選定・運用体制を設計することが、成功のカギを握ります。
設立はあくまで「スタート地点」にすぎず、その後の運営・拡大・撤退も含めて、中長期的な視点での準備が重要です。
- 「海外向けのEC販売を強化したい」
- 「アメリカ企業とスムーズに契約を結びたい」
- 「資金調達や信用力向上を目指したい」
目的が明確であれば、どの州で何を整え、どのように運用すべきかが見えてきます。逆に、目的が曖昧なまま設立だけを先行させると、想定外のコストや手間が発生し、撤退を余儀なくされるケースもあります。
そのため、設立前後を通じて一貫して相談できる専門家を活用することが、リスク回避と長期的な成果につながります。
グローハイでは、豊富な経験と独自のネットワークを活かし、今回ご紹介したアメリカでの会社設立をはじめ、海外市場調査、SNS・インフルエンサーマーケティング、Web広告などのマーケティング戦略の構築、さらにはバーチャル展示会への出展支援まで、手厚い海外進出サポートを提供しています。
アメリカをはじめとする海外市場への進出をご検討の際は、どうぞお気軽にご相談ください。
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■グローハイでは海外オンライン展示会「VirtualExpo(ヴァーチャル・エキスポ)」の出展をサポートしています。
VirtualExpoは機械、建築、造船、医療、農機、航空の6分野における製造業のBtoB専門オンライン展示会です。
欧州や北米、南米、さらにはアジア、中東アフリカ等にもリーチ可能なオンラインによるビジネスマッチング・プラットフォームです。欧州バイヤーが半数以上を占めるVirtualExpoに出展することで、欧州を始めとする世界各国・地域への販路開拓が可能となります。
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