こんにちは!グローハイ海外進出サポートチームです。
日本企業の皆さまから日々ご相談をいただく中で、最も多いテーマの一つが「海外展開をどう進めるべきか」という課題です。少子高齢化で国内市場が縮小する一方、アジアや新興国では購買力が拡大しており、今まさにグローバル市場での存在感を高めるチャンスが広がっています。
しかし実際には、「どの国に進出すればいいのか」「自社製品は現地で受け入れられるのか」「競合との差別化は可能なのか」といった疑問に直面し、最初の一歩が踏み出せない企業も少なくありません。
そこで重要になるのが市場調査です。
しっかりとマーケットを理解し、細分化されたセグメントごとにターゲットを見極め、競合との差別化ポイントを把握することが、海外展開成功の第一歩です。本記事では、なぜ市場調査が必要なのか、そしてどのように調査を活かすことで海外で勝てる戦略につなげられるのかを解説します。
■グローハイでは海外オンライン展示会「VirtualExpo(ヴァーチャル・エキスポ)」の出展をサポートしています。
VirtualExpoは機械、建築、造船、医療、農機、航空の6分野における製造業のBtoB専門オンライン展示会です。
欧州や北米、南米、さらにはアジア、中東アフリカ等にもリーチ可能なオンラインによるビジネスマッチング・プラットフォームです。欧州バイヤーが半数以上を占めるVirtualExpoに出展することで、欧州を始めとする世界各国・地域への販路開拓が可能となります。
出展するには英語対応が必要で、グローハイでは日本企業様のVirtualExpoの営業窓口を担っております。
目次
1-1. リサーチ不足が招く典型的な失敗パターン
1-2. 海外進出で「市場調査」が必須となる理由
2-1. 競合ベンチマーク:価格・販売チャネル・ブランド戦略を読み解く
2-2. 顧客ニーズと需要の把握:購買行動・文化・規制の調査
2-3. 情報収集チャネル:現地調査、業界レポート、オンライン展示会の活用
3-1. 現地市場に適応した製品・サービス(ローカライズ戦略)
3-2. 効果的な販売チャネルとパートナー選定
3-3. ブランド認知と情報発信の巧みさ
第1章 なぜ競合分析が海外展開の成功を左右するのか
1-1. リサーチ不足が招く典型的な失敗パターン
海外展開の失敗例には、いくつか共通するパターンがあります。
まず多いのが、価格や製品価値のミスマッチです。現地の競合がどの価格帯で勝負しているのか、どんな機能やサービスを付加しているのかを調べずに参入すると、自社製品が「高すぎる」「特徴が弱い」と見なされてしまいます。実際、北米市場の日系企業調査では「コスト競争力」や「ブランド認知度」が大きな課題に挙げられています【JETRO:2024年度
海外進出日系企業実態調査|北米編】。
次に、販路の選び方の誤りです。日本国内で成功した販売方法をそのまま海外に持ち込んでも、現地の購買行動や商習慣と合わなければ効果は出ません。競合がどのようなチャネル(代理店、オンライン展示会、ECサイトなど)を使っているかを把握しないと、見込み客との接点を十分に持てないまま失敗してしまうのです。
また、ローカライズや制度対応の甘さもリスクの一つです。電圧や安全規格の違い、サービス対応の期待値、さらには税制や認証制度などを軽視すると、販売開始後に想定外のコストが膨らむケースもあります。
そして最後に、「よそ者の不利(Liability of Foreignness)」です。外国企業は現地のネットワークや制度に不慣れなため、追加コストや信頼獲得の難しさといった不利を抱えることになります。こうした課題を避けるには、市場をしっかりと調査して競合の取り組みを徹底的に観察し、現地で成功を収めるための条件を把握することが不可欠です。
1-2. 海外進出で「市場調査」が必須となる理由
では、なぜ市場調査がそれほど重要なのでしょうか。主な理由は4つあります。
1つ目は、成功している企業の共通点を把握できることです。現地でシェアを伸ばしている企業を比べていくと、「価格帯」「仕様のローカライズ」「販売チャネル」「ブランド訴求」など、必ずいくつかの共通項が見えてきます。それはすなわち、自社が最低限クリアしなければならない参入条件であり、差別化すべきポイントでもあります。
2つ目は、投資の優先順位を明確にできることです。市場全体の構造や競合の強みを理解することで、自社が重点的に取り組むべき領域が定まります。たとえば北米の日系企業は、コスト競争力やブランド認知を主要課題に挙げ、対策として製品開発・営業/広報強化・コスト削減を採っています。このように、製品開発に力を入れるべきか、マーケティングを強化すべきか、その判断を誤らないためにもその市場を知ることは欠かせません。
3つ目は、チャネル戦略やローカライズの精度が高まることです。
市場調査の過程で、消費者がどの販売チャネルを好み、どの程度のローカライズ(現地への適応)を期待しているのかが把握できます。加えて、競合の販路や対応状況を参考にすれば、自社も初期段階から市場に合致した戦略を描きやすくなります。
そして4つ目は、リスクやコストを現実的に見積もれることです。サプライチェーンの組み替え、現地採用・賃金水準、プロモーション費用などは国・地域で大きく異なります。競合の事例や政府統計(JETRO・経産省など)を活用すれば、実態に即したコストモデルを設計できます。
そして何よりも大切なのは、マーケットをしっかり理解し、細かくセグメントごとに分解することです。たとえば同じ「お茶市場」でも、タピオカティーと煎茶ではターゲット層も訴求ポイントも大きく異なります。どのセグメントに自社がフィットし、どの領域で既存競合との差別化が可能なのかを見極めるためにも、市場調査は不可欠です。
つまり、海外展開の成功確率を高める最短ルートは、包括的な市場調査にあります。その中核として競合調査を位置づけ、現地で成果を出している企業の「勝ち筋」を参考にすることが、リスクを減らし成功に近づく最も合理的な方法だと言えます。
第2章 海外進出における市場調査の方法と観点
2-1. 競合ベンチマーク:価格・販売チャネル・ブランド戦略を読み解く
海外市場に参入する際に欠かせないのが「競合の徹底分析」です。単に同業他社の存在を把握するのではなく、価格帯・販売チャネル・ブランド戦略の3点を中心に比較すると、自社の立ち位置や勝負できるポイントが見えてきます。
たとえば価格面では、「現地企業はどの価格帯で勝負しているのか」「同じ価格で付加されているサービスは何か」を確認することで、自社のコスト競争力や付加価値戦略の参考になります。販売チャネルについても、代理店経由か直販か、オンラインかオフラインかなどを把握することで、最適な参入モデルを検討できます。
さらに、ブランド戦略の違いも重要です。現地で知名度が低い日系企業は、競合がどのようにブランド認知を築いているのかを学ぶことで、自社の広報・発信活動の設計に役立ちます。こうした競合ベンチマークは、単なる情報収集ではなく、自社の強みをどこに置くかを決める土台になります。
2-2. 顧客ニーズと需要の把握:購買行動・文化・規制の調査
次に欠かせないのが「顧客視点の調査」です。市場の大きさやマクロ経済指標を見るだけではなく、実際にどのようなニーズが存在し、どのような購買行動が取られているのかを掘り下げる必要があります。
たとえば、同じ製品でも「安全性を重視する文化」と「価格を優先する文化」では訴求すべきポイントが変わります。また、国や地域によっては輸入規制や認証制度があり、これを事前に把握していないと参入後に大きなコストが発生するリスクもあります。
需要動向をつかむうえで役立つのが、中間層の拡大や消費スタイルの変化といったマクロトレンドです。これらを分析することで、「今後どの製品が伸びるのか」「どの顧客層をターゲットにすべきか」がより具体的に見えてきます。つまり、顧客ニーズと規制の両面を調べることが、市場でのポジションを誤らないための鍵となります。
こういった現地への適応(ローカライズ)に関しましては、次の章の現地市場に適応した製品・サービス(ローカライズ戦略)で詳しくご紹介いたします。
2-3. 情報収集チャネル:現地調査、業界レポート、オンライン展示会の活用
市場調査には複数の情報源を組み合わせることが重要です。まず基本となるのは、現地に足を運び、顧客や販売店、業界関係者と接触するフィールド調査です。実際の声を聞くことで、統計データでは見えない生のニーズを掴むことができます。
次に、国際機関や調査会社が発行する業界レポートも有効です。市場規模や競合状況の定量データを得ることができ、戦略立案の裏付けになります。
さらに近年注目されているのが、オンライン展示会の活用です。たとえば、VirtualExpo のようなBtoB特化型の展示会プラットフォームを利用すれば、複数国のバイヤーから問い合わせを受けることができ、自然に「どの国から関心が高いのか」という市場調査ができます。従来の展示会に比べて低コストで広範囲にテストができる点もメリットです。
つまり市場調査は、「現場での肌感覚 × 信頼できるデータ × デジタルを活用した広域調査」の3本柱で行うのが効果的です。
第3章 その国で成功を収めている企業が実践している共通点
3-1. 現地市場に適応した製品・サービス(ローカライズ戦略)
日本で成功している仕様でも、海外ではそのまま通用しないことが多々あります。電圧・部品規格・安全基準に限らず、デザインや使い勝手、保証対応の内容まで、国・地域ごとの文化や慣習に大きく影響されるからです。これらを最初から織り込み、現地に適合させるのが「ローカライズ戦略」です。
グローハイがサポートした日本大手トイメーカーの事例は、その典型です。アメリカ市場進出に際し、グローハイはフォーカスグループ調査を設計し、現地の消費者・保護者・流通業者から直接ヒアリングを行いました。
その結果、日本とアメリカでは子どもの生活習慣や教育観が大きく異なることが判明しました。日本では「親子が一緒に寝る文化」が一般的ですが、アメリカでは「子どもは一人で寝る文化」が根付いており、それに伴って求められるおもちゃの役割や機能も変わってきます。また教育に対する考え方も異なるため、知育玩具の設計や訴求ポイントも調整が必要となりました。
この調査結果を製品設計に反映し、現地ユーザーのニーズに沿った機能を加えることで、消費者やディストリビューターから高い評価を得ることに成功しました。
この事例が示すように、ローカライズ戦略を成功させるためのポイントは以下の通りです。
- 現地の消費者や利用者の声を直接聞き取り、ニーズを反映させること
- 「現地の顧客視点」で機能・仕様を検証すること
- ローカルユーザーや販売パートナーを巻き込んだ試作・評価を行うこと
- 規格・認証・法制度を事前に把握し、設計や販売プロセスに反映させること
単なる翻訳や仕様変更ではなく、文化・習慣を理解したうえでの本質的なローカライズこそが、海外市場での競争優位の基盤になるのです。
3-2. 効果的な販売チャネルとパートナー選定
どれだけ良い製品を作っても、適切なチャネルで届けられなければ成果は出ません。現地で勝っている企業を見ると、チャネル戦略に非常に工夫をしています。
たとえば、代理店・ディストリビューターとの契約形態、流通マージン構造、販売エリアの割り振り、オンライン展示会/プラットフォーム併用といったハイブリッドチャネルの活用などがあります。競合がどのチャネルを使って成功しているかを分析して、自社チャネルの設計に反映させることが大切です。
海外展開では、製品やサービスの良し悪しだけでなく、どの販売チャネルを活用し、どのようなパートナーと組むかが成果に直結する重要な要素となります。現地の流通網や業界ネットワークを持つパートナーを選ぶことで、市場での認知や信頼獲得をスムーズに進められます。
チャネル・パートナー戦略を強化するための観点は、以下の通りです。
- チャネル構成(直販 vs 代理 vs オンライン)を複数パターンで仮定し、現地市場での適合性を検証する
- パートナーの営業力、業界での信頼性、物流対応力を客観的に評価する
- 契約条件(制約、地域独占性、ノルマ、教育支援など)を慎重に設計する
- 競合が利用しているチャネルやパートナーの事例を参考にベンチマークする
また、こうしたパートナー戦略においては、経験値とネットワークが大きな差を生みます。
グローハイは、この分野で豊富な経験を有しています。アメリカ本社を拠点に、現地での長年の事業活動を通じて、幅広い業界ネットワークや流通パートナーとの関係を築いてきました。そのため、クライアント企業に最適な販売チャネル戦略を提案し、信頼できるパートナーの選定・交渉を支援することが可能です。
グローハイのサービスについてはこちらのHPをご覧ください。
グローハイサービス:https://glohai.com/service
3-3. ブランド認知と情報発信の巧みさ
B2B分野でも、ブランド力は無視できない要素になっています。特に海外では「知らない企業」には問い合わせすら届かないことも多く、信頼感・ブランド力の形成が競争力を左右するといっても過言ではありません。B2Bブランディングにおいては、専門性や実績の訴求、業界知見の発信といった取り組みが評価されます。
成功している企業は、単なる製品紹介にとどまらず、技術論文、導入事例、メディア露出、セミナー登壇、専門レポートの配信などを組み合わせ、「その分野で信頼できる存在」であることを積極的に示しています。これにより、価格競争以外の差別化軸を築くことができています。
さらに近年では、海外広告出稿、国別WebサイトやSNS運用、オンライン展示会での露出強化といった複数の情報発信チャネルを活用する企業も増えています。特に有効な事例の一つが、BtoBオンライン展示会プラットフォーム「VirtualExpo」です。
VirtualExpo は、フランス発の世界中のB2Bバイヤーが集まる欧州最大規模の業界特化型の展示会サイトで、機械・建築・造船・医療・農機・航空の6分野で常時展示会を開催しています。全世界で約4万社が出展しており、月間訪問者数は約1,170万人、利用バイヤーは約990万人であり、半数以上が欧州のバイヤーとなっております。企業は自社製品を多言語で紹介でき、ターゲット業界に的確にアプローチすることが可能です。
日本企業の利用事例でも、「海外市場での認知度向上」や「新規商談機会の獲得」に大きく寄与したケースが報告されています。
特に これまでアプローチが難しかった市場からの認知や問い合わせが増えたという声も多く聞かれます。
- 機械分野:欧州・中南米・アフリカといったブランド認知の弱い地域からの閲覧や問い合わせが増え、効果的な広告媒体として機能している。
- 建築分野:これまでは自社で顧客開拓していたが、プラットフォームを利用することで、逆に現地バイヤーからの問い合わせが入るようになった。
- 医療分野:出展をきっかけに、従来はリーチできなかった市場での認知度向上を実感している。
このように、VirtualExpoは単なる情報発信の場ではなく、新たな市場との接点を生み出す実践的なツールとして活用されています。
また、VirtualExpoは販路開拓だけでなく、市場調査の役割も果たします。複数国に同時にプレゼンスを持てるため、「どの国からどのような反応があるのか」を把握でき、進出候補国の選定や新たなニーズ発見につなげられます。つまり、出展そのものがリスクを抑えた海外展開の試行と検証になり得るのです。
「VirtualExpo」の詳細はこちらのサイトをご覧ください。
日本企業の海外進出オンライン 展示会「VirtualExpo」:https://glohai.com/virtualexpo
ブランド認知・情報発信で重視すべきポイントは以下の点です。
- ターゲット業界・顧客セグメントに響くコンテンツ設計
- 一貫性あるブランド・メッセージを複数チャネルで維持
- 導入事例や顧客の声など“信頼を裏付ける証拠”を積極的に発表
- ローカル言語対応とSEO・広告最適化を並行して強化
- VirtualExpoのような国際的プラットフォームを活用し、認知を一気に拡大
おわりに
海外展開を成功させるために欠かせないのは、しっかりとした市場調査です。大きな「国別市場」を漠然と捉えるのではなく、マーケットを細かく細分化し、セグメントごとの特性や需要を理解することが重要です。
同じ国でも、産業分野や顧客層によってニーズは大きく異なります。どの市場セグメントが自社製品にフィットするのかを見極め、その上で「今いる競合との差別化ポイント」を明確にすることが、勝てる戦略の土台になります。
つまり市場調査は、単なる事前準備ではなく、ターゲットを正しく設定し、差別化戦略を打ち立てるための最初のステップです。調査から得られた具体的なデータや顧客の声をもとに判断することで、リスクを抑えつつ、確かな成長の機会をつかむことができます。
海外展開を検討するなら、「どこで」「誰に」「どのように」アプローチするか──その答えを導き出すために、まず市場調査を徹底することが何より大切です。
グローハイでは、今回ご紹介した海外市場調査をはじめ、SNS・インフルエンサーマーケティング支援、BtoBオンライン展示会「VirtualExpo」への出展支援、海外法人設立、代理店開拓まで、一気通貫でサービスをご提供しております。
海外市場での事業拡大をご検討中の方は、ぜひお気軽にご相談ください。
グローハイのサービス詳細については、こちらのリンクをご覧ください:https://glohai.com/
お問い合わせは、こちらからどうぞ: https://glohai.com/contact
■グローハイでは海外オンライン展示会「VirtualExpo(ヴァーチャル・エキスポ)」の出展をサポートしています。
VirtualExpoは機械、建築、造船、医療、農機、航空の6分野における製造業のBtoB専門オンライン展示会です。
欧州や北米、南米、さらにはアジア、中東アフリカ等にもリーチ可能なオンラインによるビジネスマッチング・プラットフォームです。欧州バイヤーが半数以上を占めるVirtualExpoに出展することで、欧州を始めとする世界各国・地域への販路開拓が可能となります。
出展するには英語対応が必要で、グローハイでは日本企業様のVirtualExpoの営業窓口を担っております。